即死の場合の損害賠償請求権は相続の対象となるか、について次の学説がある。

相続否定説
被害者が即死した時点で被害者自身は損害賠償請求権を取得し得ず、相続することもない。
相続性を肯定すると、生前被害者と親交のなかった相続人でも損害賠償請求権を取得する可能性が出てきてしまう。「笑う相続人」の出現である。

相続肯定説
即死の場合でも受傷と死亡との間の時間的間隔を認め、被害者が損害賠償請求権を取得すると考える。即死であっても受傷後の死亡と同様であり相続人は損害賠償請求権を相続する。
仮に相続できないとすると、即死の場合と受傷後しばらくして死亡した場合とで不均衡となってしまう。


相続否定説からは次のような点が導かれる。
・被害者が重傷を受けた事例よりも、即死した事例の方が、加害者が支払うべき賠償額が少なくなってもやむを得ない。
・年少者が即死した場合、相続肯定説よりも加害者が支払うべき賠償額が低くなり得る。

相続肯定説からは次のような点が導かれる。
・生前に被害者と長年交際のなかった者が損害賠償請求権を取得することもあり得ることになる。
・損害賠償の請求権者の範囲が明確になる。
 相続否定説の場合は、被害者の内縁の妻のように扶養を受けていた者に対する扶養利益の喪失に対する損害賠償を認めようとする場合、誰が請求権者となるのかといった問題が生じてしまう。


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